定期契約の提案の仕方——スポット仕事を年間契約に変える話法

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スポットの仕事だけで回している清掃会社の売上グラフは、心電図に似ています。上がって、下がって、また上がって——毎月ドキドキの連続です。

一方、定期契約を積み上げた会社の売上グラフは、階段です。月初の時点で、今月の売上の大半が確定している。この安心感は、経営者の睡眠の質を変えます。

「そりゃ定期契約が欲しいよ。でも、どう提案すればいいのかわからない」——今日はその話です。スポットのお客様を年間契約に変える、具体的な話法まで含めてお話しします。

目次

お客様は「定期契約」という言葉で身構える

売上の心電図を階段に変える定期契約の図解

最初に、よくあるつまずきポイントから。多くの人が「定期契約はいかがですか?」と真正面から聞いて、断られています。

お客様の頭の中で「契約」という言葉は、「縛られる」「解約が面倒」「毎月お金が出ていく」とセットになっているからです。携帯電話の「2年縛り」やジムの「幽霊会員」で、みんな一度は痛い目を見ています。だから「契約」と聞いた瞬間、内容を聞く前に防御姿勢に入るのです。

ではどうするか。売り込むのは「契約」ではなく、「忘れなくていい安心」です。

考えてみれば、定期購読やサブスクで人が本当に買っているのは、商品そのものより「選び直さなくていい・忘れていても届く」という頭の軽さです。清掃の定期契約も同じ。お客様のメリットを、この順番で伝えます。

  • 覚えておかなくていいんです。時期が来たらこちらからご連絡して伺います」
  • 「繁忙期でも優先的に日程を確保します。夏のエアコンの順番待ちがなくなります」
  • 「定期的に手を入れるので汚れが育たず、1回あたりの作業が軽くなる分、料金も単発より抑えられます

「縛る契約」ではなく「おまかせの予約」。同じ中身でも、伝え方でお客様の表情は全然違います。

提案のベストタイミングは「見積もり時」ではなく「作業直後」

定期契約の松竹梅3プランの図解

次に、いつ提案するか。答えは明確で、作業が終わって、お客様が仕上がりに感動している瞬間です。

見積もり段階で年間契約を持ち出すと、まだあなたの仕事ぶりを見ていないお客様には「大きな買い物」に感じられて、警戒されます。でも、ピカピカになった換気扇を見て「わあ、新品みたい!」と言っているお客様は、あなたの仕事の価値をいま、目で確認したばかり。この瞬間がゴールデンタイムです。

話法はこうです。

「ありがとうございます。実はこの状態、半年ごとに軽くお手入れすると、ずっと保てるんですよ。今日みたいに固まってからやると時間もお代もかかるんですが、定期的なら1回あたり◯◯円で済みます。ご希望でしたら、次回から時期が来たらこちらからご連絡する形にしましょうか?」

ポイントは3つ。①いまの感動を「維持できる」と言う ②単発より安くなる理屈(汚れが育つ前だから作業が軽い)を説明する ③「契約書にサイン」ではなく「連絡する形にしましょうか」という軽い聞き方で締める。お客様の返事は「はい」か「いいえ」ではなく、「あら、それ助かるわ」になります。

プランは「松竹梅」の3段で見せる

提案を形にするときは、選択肢を3つ用意します。人間は「やる・やらない」の2択より、「どれにする?」の3択のほうが決めやすい生き物だからです。

  • 松: 年4回コース——季節ごとにおまかせ。水回り全体を年間管理
  • 竹: 年2回コース——夏前のエアコン+年末の大掃除。一番人気
  • 梅: 年1回コース——毎年同じ時期にご連絡。まずはここから

本命は真ん中の「竹」です。松があるから竹が手頃に見え、梅があるから「せっかくなら竹に」となる。定食屋のメニューと同じ心理です。

そして、どのコースにも入らなかったお客様にも、最後の一手があります。「では、来年の時期が近づいたら、ご案内だけお送りしますね」——これなら断る人はほぼいません。契約ゼロ件の日でも、「来年の見込み客リスト」は確実に増えていくのです。

法人・店舗には「困りごとの先回り」で刺す

個人宅とは別に、店舗や事務所への定期提案にはコツがあります。相手は経営者や管理担当者。響くのは「きれいになりますよ」ではなく、「手間とリスクが減りますよ」です。

「毎回業者を探して見積もりを取る手間がなくなります」「定期に入っていただくと、急な汚れトラブルの際も優先で駆けつけます」「毎月定額なので、予算が立てやすくなります」——担当者が上司を説得しやすい材料を渡すイメージです。

特に飲食店や医院など「清潔さが商売に直結する業種」は、定期清掃の価値を理解しやすいお得意様候補です。スポットで一度入った店舗こそ、作業直後のゴールデンタイムを逃さないでください。

取ったあとが本番: 解約されない定期契約のコツ

定期契約には、スポットにはない敵がいます。「マンネリ」です。毎回同じ作業が続くと、お客様の中で作業が「当たり前」になり、ある日ふと「これ、続ける意味あるのかしら」となる。ジムの幽霊会員が退会する瞬間と同じです。解約を防ぐコツは3つ。

コツ1: 毎回、小さな「+α」を入れる。契約範囲の作業に加えて、5分でできるおまけをひとつ。「ついでに網戸を1枚拭いておきました」——この一言があるたびに、お客様の中の「頼んでてよかった」が更新されます。

コツ2: やったことを見えるようにする。定期清掃の価値は「汚れる前にきれいにする」こと。つまり順調なほど、お客様には変化が見えません。だから簡単な報告(今回の作業内容+気づいた点)を毎回残す。「見えない仕事」を「見える安心」に翻訳するのが報告書です。

コツ3: 年に1回、内容の見直しを持ちかける。「1年経ちましたが、回数や範囲、いまのままで合っていますか?」——この確認があるだけで、お客様は「言われるがままの契約」ではなく「自分で選び直した契約」だと感じ、納得感が続きます。

定期契約は「管理」までがセット

最後に、耳の痛い話をひとつ。定期契約は、取って終わりではありません。「次回連絡の約束を、絶対に忘れない」という管理側の義務が発生します。

「時期が来たら連絡します」と言っておいて連絡を忘れたら、信頼はスポット時代以下に落ちます。契約が10件、20件と増えるほど、「誰に・いつ・何を」の管理は頭とカレンダーだけでは回らなくなります。定期契約を増やすと決めたら、抜け漏れなく回る記録の仕組みを先に用意する。それが、心電図の売上を階段に変える、本当の土台です。

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この記事を書いた人

創業45年になる有限会社クリンシアの2代目代表。マットモップレンタル事業、ビルメンテナンス清掃事業、家庭用洗剤、次亜塩素酸水製造販売事業、ナノテックシステム導入支援事業、清掃用具関連販売事業、清掃業務に関するコンサルティング事業などをしています。 また飲食店事業としてテイクアウトカフェの運営も行っています。

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