ご自宅のテレビのリモコンを、思い浮かべてください。ボタンはいくつありますか。おそらく40個か50個。では、そのうち実際に押すボタンは? ……電源、チャンネル、音量。せいぜい5個か6個ではないでしょうか。
残りの40個は、押されないまま一生を終えます。それどころか、「ボタンが多くて、なんだか難しそう」という印象だけを残します。
道具の世界には、こんな法則があります。ボタンが増えるほど、道具は使われなくなる。
いちばん記録を残すべき人が、いちばんパソコンから遠い
「会社のおまもり」を作るとき、私たちには決めていたことがありました。60代・70代の、パソコンが得意ではない社長さんが、ひとりで使えること。
理由は単純です。会社の記録をいちばん残すべき人――何十年分の知恵が頭に詰まっている人――は、たいていベテランの社長さんです。そしてベテランの社長さんは、たいていパソコンが得意ではありません。
「若い人向けの便利なソフト」なら、世の中にいくらでもあります。でもそれでは、いちばん大事な人の頭の中が、いちばん残らない。だから、リモコンのボタンを徹底的に削るところから始めました。
削って、削って、「話す」だけを残した
このソフトの使い方は、つきつめると1つしかありません。
思いついたことを、話す。それだけです。整理も、分類も、保存も、ぜんぶAIが勝手にやります。
以前は「AIの整理結果を確認して、保存ボタンを押す」という手順がありました。ある社長さんに言われたのです。「AIに話したのに、なんでまた確認して保存しないといけないの?」――ぐうの音も出ませんでした。いまは確認も保存も不要です。話せば、覚えます。間違っていたら「あれは違うよ、こうだよ」とまた話せば、覚え直します。

メニューの数も削りました。画面の言葉から、カタカナの専門用語を追放しました。「エクスポート」ではなく「文書ファイルで保存」。「アーカイブ」ではなく「残す」。画面にある言葉が全部わかる――それだけで、道具はこわくなくなります。
キーボードが苦手なら、しゃべればいい
「話すだけと言われても、文字を打つのが遅くて……」という方。朗報です。打たなくていいのです。
スマホなら、キーボードのマイクのボタンを押してしゃべれば、話した言葉がそのまま文字になります。ガラケーからスマホに変えたばかりの方でも、マイクに話すのは電話と同じ。パソコンでも音声入力の道具があります。
実際、開発中のテストでも、文字入力はほとんど音声で行っています。「えー」「あのー」が混ざった話し言葉でも、AIがきれいな文章に整えてくれるので、うまく話そうとする必要すらありません。

「使えた」という体験が、いちばんの入口
パソコンが苦手な方の多くは、能力の問題ではなく、過去に嫌な思いをしただけです。ボタンを押したら変な画面になった、元に戻せなくなった、カタカナの警告に脅された。ああいう体験が「自分には向いていない」という思い込みを作ります。
だから、このソフトで最初に体験してほしいのは、機能ではなく「使えた」という感覚です。話しかけたら、AIがちゃんと聞いてくれて、気の利いた質問を返してくれて、気づいたら会社の説明書が1ページできていた。――「なんだ、できるじゃないか」。
その一歩目のために、私たちはボタンを削り続けています。リモコンで言えば、電源とチャンネルと音量だけの、迷いようのないリモコン。それでいて、中身は最新のAI。
パソコンが苦手なまま、どうぞ始めてください。苦手なままで使えるように、こちらで作ってありますから。
最初の1日にやることは、これだけ
「それでも最初が不安」という方のために、初日の手順をぜんぶ書き出しておきます。読めば分かる通り、覚えることはほぼありません。
手順1:ホームページ(kaisha-omamori.jp)を開いて、メールアドレスと自分で決めた合言葉(パスワード)で登録する。カード番号は要りません。
手順2:画面に出てくるAIの「今日はどのようなことについてのメモですか?」に、何かひとこと返す。おすすめは「うちの会社の営業時間と定休日」あたりの気楽な話。
手順3:AIが2つ3つ質問してくるので、答える。話し終わったら「これでまとめる」を押す。
おわり。これで、あなたの会社の取扱説明書に1ページ目ができています。
所要時間は、登録込みで10分ほど。2日目からは手順2と3だけなので、5分です。
もし途中で「あれ?」となっても、壊れる心配はありません。このソフトには「押したら取り返しがつかないボタン」を置いていません。消す操作には必ず確認が出ますし、記録は自動で控えが取られています。失敗のしようがない場所で、安心して練習してください。分からないことがあれば、画面のAIに日本語で聞いてもらっても大丈夫です。そのための、話せる道具ですから。
この記事のまとめ
・ボタンが多い道具は使われない。だからボタンを削りに削った
・使い方は「話す」だけ。確認も保存も分類も、AIが勝手にやる
・キーボードが苦手なら、マイクに話せばいい。打たなくていい
・「押したら取り返しがつかないボタン」は置いていない。失敗のしようがない
パソコンが苦手というのは、性格でも年齢でもなく、「わかりにくい道具に付き合わされてきた」という経歴の問題だと思っています。わかりやすい道具なら、誰でも使えます。電話とテレビとマイクが使えるなら、このソフトは使えます。会社でいちばん大事な頭の中をお持ちのあなたにこそ、いちばん簡単な道具を。そのつもりで作りました。

