誰が出ても同じ対応――お客様対応の品質が揃う話

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誰が出ても同じ対応――お客様対応の品質が揃う話

お客様から、会社に電話がかかってきます。さて、その電話、誰が出るかで対応の質が変わっていませんか。

社長が出れば、完璧な答え。ベテランが出れば、まあ大丈夫。新人が出ると、「確認して折り返します」の連続。あるあるの光景ですが、お客様の側から見ると、これは「当たりはずれのある会社」です。

今日は、この「当たりはずれ」をなくす話。例え話は、あの有名なハンバーガー店から始めます。

あの店のすごさは、味ではなく「同じ」であること

大手のハンバーガーチェーンを思い浮かべてください。あの店のすごさは、日本一おいしいことではありません。日本中どこの店でも、誰が作っても、同じ味が出てくることです。

なぜそれができるのか。店員さん全員が料理の天才だから、ではありません。作り方と対応が、細かく記録されて共有されているからです。人の才能ではなく、仕組みで品質を揃えている。

「うちは大手と違うから」と思うかもしれません。でも、考えてみてください。お客様があなたの会社に期待しているのも、実は同じことです。「いつ電話しても、誰に頼んでも、あの会社はちゃんとしてる」。この安心感こそが、信頼の正体です。そして信頼は、対応のばらつきで少しずつ削れていきます。

図解
図1:お客様が求めているのは「当たりはずれのなさ」。ばらつきは信頼を削ります。

お客様対応の記録は、3点セットで

では、何を記録すれば対応が揃うのか。3点セットで考えると整理しやすいです。

1.よくある質問と、その答え。「営業時間は?」「料金はいくらから?」「この症状、直せる?」――お客様からの質問は、実は8割が「いつもの質問」です。その答えが共有されていれば、新人でも即答できます。折り返し電話が減るだけで、お客様の印象は大きく変わります。

2.クレーム・トラブルのときの流れ。まず謝る。言い訳をしない。事実を確認する。自分で答えられない補償の話は預かる。誰に引き継ぐ。――この流れが決まっているだけで、新人がクレーム電話で凍りつくことがなくなります。初動の良し悪しは、クレームが大火事になるか小火で済むかの分かれ目です。

3.うちの会社の「らしさ」。電話は何コール以内に取るか。お客様を何とお呼びするか。無理な依頼はどう断るか。あなたが自然にやっている接し方には、会社の人柄が出ています。それを言葉にして渡すと、会社の「らしさ」が全員のものになります。

作り方:電話が終わるたびに、30秒

この3点セット、机に向かって書き出す必要はありません。作り方は、もうおなじみの方法です。

お客様対応をした直後に、30秒話す。「いま◯◯って聞かれて、こう答えた」。それだけで、AIが「よくある質問」のページに清書します。1日1件で、1か月後には30件のQ&A集。あなたの会社専用の、生きた対応マニュアルです。

特に大事なのが、うまくいかなかった対応の記録です。「ああ言えばよかった」「あの断り方はまずかった」。反省は、そのままにすると消えますが、記録すると全員の教材になります。失敗を財産に変える装置だと思ってください。

そして従業員には、「分身に聞く」が効きます。お客様との電話中に「これ、どう答えるんだっけ」となったら、保留にしてマニュアルか分身AIに確認。社長に電話をつなぐ前に、自分で答えにたどり着けます。

イラスト
図2:対応のたびに30秒。1か月で、会社専用の生きたQ&A集が育ちます。

対応が揃うと、新人がいちばん救われる

この仕組みで、いちばん得をするのは誰か。実は新人さんです。

電話対応は、新人にとって恐怖の業務です。何を聞かれるかわからない、答えられない、お客様を怒らせたらどうしよう。この恐怖から「電話に出たがらない新人」が生まれ、ベテランに負担が偏ります。

Q&A集と対応の流れがあれば、新人は「調べれば答えられる」という安心を手に、電話に出られます。出れば経験が積める。経験が積めれば、早く戦力になる。対応マニュアルは、お客様のためであると同時に、新人を守る盾なのです。

そして社長には、こんな日が来ます。自分が不在の日の電話対応について、お客様から「おたくの若い子、しっかりしてるね」と言われる日。その一言は、記録の仕組みが生んだ、会社の実力です。

よくある質問

「マニュアル対応って、冷たくなりませんか」――マニュアルの役割は、言葉を固定することではなく「困らない土台」を作ることです。答えの内容と流れが頭に入っていれば、話し方はその人の温かさで自由にやればいい。むしろ、答えに詰まってしどろもどろになるほうが、お客様には冷たく映ります。土台があるから、心を込める余裕が生まれるのです。

「お客様ごとに対応が違うので、一律にできません」――お得意様ごとの特別ルール(この会社は月末締め、あの奥様は午前の電話はNG等)こそ、記録の出番です。「お客様ごとの違い」が記録されていれば、担当者以外でも失礼のない対応ができます。一律にするのではなく、違いを共有するのです。

この記事のまとめ

・お客様が求めるのは「当たりはずれのなさ」。ばらつきは信頼を削る
・記録は3点セット:よくある質問・クレームの流れ・うちの会社らしさ
・作り方は対応のたびに30秒。失敗の記録こそ全員の教材になる
・対応マニュアルは新人を守る盾。電話に出られる新人は早く育つ

「誰が出ても、ちゃんとしてる会社」。その評判は、広告では買えません。お客様は、対応の良かった会社の名前を覚えていて、次も頼み、人にも勧めてくれます。つまり対応の品質は、目に見えない営業マンなのです。今日の1本の電話のあとの30秒から、その営業マンを育て始めてみませんか。この営業マンは給料も残業代も要らず、休まず、年々賢くなります。小さな会社が持てる、いちばん割のいい戦力です。

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この記事を書いた人

創業45年になる有限会社クリンシアの2代目代表。マットモップレンタル事業、ビルメンテナンス清掃事業、家庭用洗剤、次亜塩素酸水製造販売事業、ナノテックシステム導入支援事業、清掃用具関連販売事業、清掃業務に関するコンサルティング事業などをしています。 また飲食店事業としてテイクアウトカフェの運営も行っています。