「会社のおまもり」という名前のせいで、誤解されがちなことがひとつあります。これは会社のことしか残せない道具ではありません。
家のリフォームの計画。庭の手入れの覚え書き。車のこと、趣味の道具のこと、家族との約束。――そういう「わたし」の記録も、仕事とちゃんと分けて残せます。
今日は、この「わたし」の部屋の話です。実は、開発のきっかけも利用者さんの一言でした。「このリフォームの話は私事だから、仕事と分けて残したいんだよね」と。もっともな話です。
社長の頭の中は、仕事と私事が同居している
そもそも、なぜ会社の記録の道具に「わたし」の部屋が要るのか。理由は簡単で、社長の頭の中が、もともとそうなっているからです。
A社の請求のこと、トラックの車検、田中くんの昇給……のすぐ隣に、
家の雨どいの修理、親の通院の付き添い、孫の誕生日、畑の草刈り。
中小企業の社長にとって、仕事と生活は塀で仕切られていません。特に自宅と会社が近い方、家族経営の方はなおさらです。頭の中が混ざっているのに、記録の道具が「仕事専用」だったら、片方の荷物は降ろせないままになってしまう。
だから、道具の側が頭に合わせました。話した内容が私事なら、AIが「わたし」の枝に仕分けます。つながりマップでも、仕事の枝と「わたし」の金色の枝は別々に育ちます。混ざらないから、安心して両方話せるのです。

「わたし」の記録に向いているもの
では、「わたし」の部屋には何を入れると便利か。使ってみてわかった、向いているものを挙げます。
家のメンテナンス記録。リフォームの計画と見積もり、屋根の修理をいつ誰に頼んだか、給湯器を替えた年。家も会社と同じで、「前どうしたっけ」が数年おきにやってきます。頼んだ業者と金額の記録は、次の修理の強い味方です。
持ち物の記録。車の車検と保険、農機具や趣味の道具の手入れ、購入した店と保証書のありか。
家族との約束・行事。記念日、毎年の墓参り、親戚付き合いの覚え書き。「毎年◯月」の話はカレンダーが拾って、時期が来たら知らせてくれます。
自分の考えごと。いつか行きたい場所、還暦を迎えたら始めたいこと、健康のこと。仕事の顔では書かない、素の自分の記録です。
そして、これらの記録はやがて、もうひとつの意味を持ちます。家のこともまた、「あなたしか知らないこと」だらけだからです。雨どいの業者も、給湯器の型番も、墓の管理も。会社の属人化と同じ構造が、実は家庭にもあります。「わたし」の記録は、家庭版の「おまもり」なのです。
できごと日記も、人生の記録になる
「わたし」の部屋ができると、できごと日記の幅も広がります。仕事の日記に混じって、こんな一行が増えていきます。
「孫が初めて歩いた。会社に写真を持っていったら、みんなに笑われた」
「畑のトマト、今年は当たり年。◯◯さんに教わった肥料が効いたらしい」
「妻と◯◯温泉。いい宿だった。また来たい」
数年後にこれを読み返すのは、あなた自身です。仕事の記録だけの日記帳より、人生の記録が混じった日記帳のほうが、読み返す日の味わいは深い。会社の歴史と一緒に、あなたの歴史も貯まっていく。それがこの道具の、本当の姿だと思っています。

見せる範囲は、いつも通りあなたが決める
「私事を入れて、従業員に見られたら困る」――ご安心を。以前の記事で書いた「部屋分け」は、ここでも生きています。
「わたし」の記録は個人の部屋。従業員に見せる事業の記録とは、最初から分かれています。家族に残したいもの(家のメンテナンス記録など)は家族向けに。自分だけの考えごとは個人・限定に。仕分けの主導権は、いつも通りあなたにあります。
そして、もしもの日のことを少しだけ。会社の記録が従業員を守るように、「わたし」の記録は家族を守ります。家の修理業者、保険、お墓のこと、そしてあなたの想い。会社のおまもりと家族のおまもりは、結局ひとつながりなのです。
よくある質問
「私事を話すのに、月額の枠を使うのはもったいなくないですか」――「わたし」の記録も同じ枠内で使えます。もったいないかどうかは使い方次第ですが、家の修理で「前の業者どこだっけ」を10分探すことを考えれば、30秒の記録は安い保険です。それに、頭の棚卸し効果は仕事も私事も同じ。私事の心配ごとも、頭のタブの立派な1枚ですから。
「妻(夫)も使えますか」――アカウントはお1人ずつですが、印刷やバックアップで家族に共有する使い方はできます。ご夫婦それぞれで使って、お互いの「もしも」に備え合うのも、実はおすすめの形です。家のことは夫婦でも分担が分かれているもの。お互いの担当を記録し合えば、家庭の属人化もほどけていきます。
この記事のまとめ
・会社のおまもりは、仕事専用ではない。「わたし」の記録も分けて残せる
・社長の頭は仕事と私事が同居している。道具も両方の部屋を持つべき
・家のメンテナンス・持ち物・家族との約束・考えごとが「わたし」向き
・家庭にも属人化はある。「わたし」の記録は家庭版のおまもり
会社を残す準備をしながら、自分の人生も記録していく。今日の「わたし」のひとことから、どうぞ。リフォームの話でも、畑の話でも、孫の話でも。
社長という肩書きの下には、ひとりの人間の暮らしがあります。家があり、家族があり、好きなことがあり、守りたいものがある。会社の記録だけが立派に育って、自分の暮らしの記録がゼロというのは、なんだか順番が違う気がするのです。会社とわたし、両方まとめて面倒を見る。それがこの道具の名前に「おまもり」と付けた理由のひとつでもあります。お守りは、仕事にも暮らしにも、まとめて効いてこそのお守りですから。

