ちょっとだけ、想像してみてください。
明日の朝、あなたが急に入院することになりました。スマホも触れません。会社には行けません。期間は1か月。
さて――あなたの会社は、回るでしょうか?
「うちは大丈夫」と即答できた方は、この記事は読まなくて大丈夫です。でも、少しでも「うっ」と言葉に詰まった方は、5分だけお付き合いください。これは、日本中の小さな会社に共通する、とても大事な話だからです。
お母さんが入院した日の、あの混乱
会社の話の前に、まずは家庭の話をさせてください。
ある日、お母さんが急に入院しました。残されたお父さんと子どもたちは、その晩から困りはじめます。
「夕飯って、何をどう作るの?」
「洗剤の詰め替えって、どこに置いてあるの?」
「ガス代って、いつ、どうやって払ってるの?」
「回覧板って、次はどこの家に持っていくの?」
ぜんぶ、お母さんの頭の中にしかなかったからです。
お母さんは、隠していたわけではありません。毎日やっているうちに体で覚えてしまって、「こんなの、わざわざ書き残すことでもない」と思っていただけです。
実は、会社でもまったく同じことが起きます。しかも会社の場合は、金額もケタ違いで、従業員さんの生活もかかっています。
社長の頭の中にしかないもの、数えてみてください
小さな会社の社長さんの頭の中には、たとえばこんなものが入っています。

A社への請求は月末締めで翌月10日。B社の社長は電話より先にFAXを送ると機嫌がいい。倉庫の鍵の予備は事務所の引き出しの奥。あの機械は動かす前に3分あたためないと止まる。銀行の担当者さんの名前。パスワードを書いたノートのしまい場所……。
どれも「そんなの当たり前だよ」という小さなことばかりですよね。でも、この小さな当たり前が100個、200個と集まって、会社は毎日ちゃんと回っています。そして、その100個をぜんぶ知っているのは――多くの場合、社長ただひとりなんです。
これは、会社でいちばん大事な財産を金庫にしまって、鍵を1本しか作っていないのと同じことです。金庫が開かなくなったら(つまり社長が倒れたら)、財産ごと取り出せなくなってしまいます。
「書き残せばいい」のは、わかってる。でも書けない
「じゃあ、マニュアルを作ればいいのでは?」――はい、そのとおりです。そして実は、ほとんどの社長さんが一度は挑戦して、途中でやめています。
理由はかんたんで、書くのは思った以上に大変だからです。
夏休みの宿題を思い出してみてください。「毎日日記を書く」という宿題、続きましたか? ほとんどの人が三日坊主だったはずです。でも不思議なもので、その日あったことを家族にしゃべるのは、毎日できていましたよね。人間は、書くのは苦手でも、おしゃべりなら何時間でもできる生き物なのです。
それに、いざ机に向かっても「さて、何から書けば…」と手が止まります。頭の中の100個は、きれいに並んでいるわけじゃなくて、あっちこっちに散らばっているからです。
だから「話すだけ」にしました
そこで私たちは、発想をひっくり返しました。作ったのが「会社のおまもり」です。
あなたは、AIとおしゃべりするだけ。文章にまとめるのは、AIの仕事です。
AIが「請求はいつ締めていますか?」「その仕事、止まったらどこが困りますか?」と、聞き上手な新入社員のように質問してくれます。あなたは思いついた順に、話し言葉のまま答えるだけ。スマホの音声入力を使えば、キーボードにさわる必要すらありません。
すると、AIが裏側でせっせと整理して、「会社の取扱説明書」の形に清書してくれます。考えてみれば、3千円の炊飯器にも説明書が付いているのに、それより何百倍も複雑な「会社」に説明書がないのは、少し変な話ですよね。それを、話すだけで作れるようにしました。

「もしも」のためだけじゃない。毎日もラクになる
じつはこの仕組み、うれしいおまけが2つ付いてきます。
1つめは、頭の中がスッキリすること。人にしゃべると考えがまとまる経験、ありますよね。AIに会社のことを話していくと、「あれ? この仕事、実はもうやめていいな」「これは誰かに任せられるな」と、自分の会社が見えてきます。取扱説明書づくりは、社長自身の頭の大掃除でもあるんです。
2つめは、従業員さんが自分で調べられるようになること。「社長、これどうします?」って質問、1日に何回ありますか? 記録が溜まってくると、従業員さんは社長に聞く前に「おまもり」を見れば済むようになります。先生がいなくても自習できるクラスには、よくまとまったノートがある――あれと同じです。社長がいてもいなくても、ここに来れば何もかもわかる。それがゴールです。
傘は、雨が降る前に買うもの
「まだ元気だから、そのうちに」。そう思った方に、最後にひとつだけ。
傘は、雨が降り出してからでは間に合いません。降る前の、よく晴れた日に買っておくものです。会社の記録もまったく同じで、元気にしゃべれる今日にしか、残せません。
1日5分、今日あったことをしゃべるだけでいいのです。それだけで、あなたの会社の100個の「小さな大事なこと」が、少しずつ、家族と従業員さんに見える形になっていきます。
あなたの頭の中は、会社でいちばん大事な財産。金庫の鍵を、もう1本だけ作っておきませんか?
よくある質問:「うちみたいな小さい会社でも?」
「従業員3人の会社でも、意味がありますか?」――むしろ、小さい会社ほど効きます。大きな会社には分厚いマニュアルと交代要員がいますが、小さな会社は社長が倒れたら代わりがいません。そのぶん、書き残す量も少なくて済みます。早い人なら1か月で、会社の骨組みはほぼ残せます。
「パソコンが苦手なのですが…」――ご安心ください。このソフトは、パソコンが苦手な社長さんのために作りました。画面のボタンは最小限。スマホからも使えて、キーボードが苦手ならマイクに向かってしゃべるだけで大丈夫です。
「もう65歳。今からでは遅くないですか?」――遅くありません。記録は、始めた日からの分がぜんぶ残ります。「早すぎる」こともないかわりに、「遅すぎる」こともない。思い立った今日が、いちばん若い日です。

