まずは「会社の電話帳」だけでも今日作るべき理由

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まずは「会社の電話帳」だけでも今日作るべき理由

「会社の記録を残しましょう」と言われて、腰が重くなる気持ちは、よくわかります。全部を残すのは大ごとに聞こえますから。

そこで今日は、思いきり的を絞ります。まず「会社の電話帳」だけ作りませんか、という提案です。

電話帳。つまり、「困ったときに、誰に電話すればいいか」の一覧。地味です。でもこの1ページが、会社の備えの中で、いちばん費用対効果が高いのです。

困りごとの9割は、「電話1本」で動き出す

会社で起きるトラブルを思い出してください。水漏れ、機械の故障、パソコンの不調、車の事故、お金の疑問。

これらのトラブル、社長のあなたはどう解決していますか。実は、自分の手で直すことは少ないはずです。やっているのは、「正しい相手に、電話をかける」こと。水道屋の山田さん、機械メーカーの窓口、保険の担当さん、税理士の先生。

つまり、社長の危機対応力の正体は、かなりの部分が「頭の中の電話帳」なのです。逆に言えば、この電話帳さえ共有されていれば、社長がいなくても、困りごとの9割は動き出します。誰かが正しい相手に電話をかけられるからです。

図解
図1:危機対応力の正体は「誰に電話するか」を知っていること。共有すれば全員の力になります。

電話番号だけでは、半人前。「ひとこと」を添える

ここで大事なコツをひとつ。電話帳には、番号だけでなく「ひとことメモ」を付けてください。これで値打ちが3倍になります。

水道トラブル:山田設備の山田さん(090-XXXX)。夜でも出てくれる。「マルヨシ工業です」と言えば話が早い。
コピー機:リース会社ではなく、保守窓口(0120-XXXX)へ。機械番号は本体右下のシール。
税金・お金の相談:◯◯会計の佐藤先生。月末は忙しいので急ぎ以外は月初に。
建物のこと:大家の田中さん。工事するときは事前に一報を入れると気持ちよく進む。

おわかりでしょうか。番号は調べればわかります。でも「夜でも出てくれる」「機械番号は右下のシール」「月末は避ける」は、あなたしか知らない知恵です。電話帳のふりをした、立派な会社の取扱説明書なのです。

作り方:しゃべれは10分で終わる

「会社のおまもり」での作り方は、例によって話すだけです。AIに「困ったときの連絡先を残したい」と言って、思いつく順にしゃべってください。

「えーと、水道関係は山田設備。山田さんの携帯にかける。夜でも出てくれる人。それから機械が壊れたら△△のサービス窓口で、あれは機械の番号を聞かれるから、本体の右下にシールが貼ってあって……」

この調子で10分。AIが相手ごとに整理して、きれいな一覧に清書します。あとから「そういえば」と思い出したら、その都度ひとこと追加すればいい。

ポイントは、完璧を目指さないことです。思いついた5件だけでも、ゼロとは天と地の差。電話帳は、育てていくものです。

イラスト
図2:しゃべって10分。番号+ひとことメモの電話帳は、会社の初めての説明書にちょうどいい。

最初の一歩に「電話帳」を勧める、本当の理由

実は、電話帳から始めることを勧めるのには、隠れた狙いがあります。

狙い1:すぐ役に立つから、続く。電話帳は作ったその週から使われます。「社長、コピー機の窓口どこでしたっけ」「電話帳見て」――この体験が早く来るほど、記録の習慣は根付きます。

狙い2:家族への効果が大きい。もしもの日、家族がいちばん最初に困るのは「誰に相談すればいいのか」です。税理士の先生、保険の担当、メインバンクの支店。この数件が書いてあるだけで、家族は最初の一歩を踏み出せます。

狙い3:話すことへの抵抗が消える。電話帳づくりでAIとの会話に慣れると、「なんだ、この調子で話せばいいのか」とわかります。そこから先、仕事の手順や判断基準の記録へと、自然に広がっていきます。

山登りと同じで、最初の一歩は軽いほどいい。電話帳は、会社の記録という山の、いちばん登りやすい登山口なのです。

今日の10分でできる、チェックリスト

最後に、電話帳に入れたい連絡先のチェックリストを置いておきます。全部でなくていいので、当てはまるものから話してみてください。

・水道、電気、ガス、建物の修理を頼む相手
・機械、車、パソコン、レジの修理・保守の窓口
・税理士、社労士、保険の担当者、メインバンクの担当者
・大事な取引先の担当者(そして、その人との付き合いのコツ)
・仕事を手伝ってくれる同業者・応援を頼める相手
・大家さん、警備会社、そして「夜中に何かあったら」の相手

ぜんぶ埋まれば、それはもう会社の緊急対応マニュアルです。まずは5件。今日の10分で、会社の守りは目に見えて変わります。

よくある質問

「スマホの連絡先に全部入っていますが、それではだめですか」――あなたのスマホは、あなたにしか開けません。ロックがかかっていますし、かかっているべきです。つまりスマホの連絡先は「社長専用の電話帳」であって「会社の電話帳」ではないのです。それに、スマホには「夜でも出てくれる」「月末は避ける」といったひとことメモまでは入っていないはずです。

「事務所に紙の一覧を貼っていますが、それで十分では?」――紙の一覧は素晴らしい第一歩です。弱点は2つだけ。古くなっても誰も気づかないことと、事務所にいないと見られないことです。「会社のおまもり」に入れておけば、更新は「番号変わったよ」とひとこと話すだけ、現場からでも家からでも見られます。紙は印刷し直して貼り替えれば、両方のいいとこ取りです。

「取引先の連絡先を従業員に見せるのは少し心配です」――見せる範囲は選べます。記録には「事業関係者向け」「家族向け」「個人・限定」の区分があるので、従業員に見せたい連絡先と、家族にだけ残したい連絡先(銀行の担当者など)を分けて残せます。主導権はあなたにあります。

この記事のまとめ

・社長の危機対応力の正体は「頭の中の電話帳」。共有すれば全員の力になる
・番号だけでなく「ひとことメモ」を。そこにあなたしか知らない知恵が宿る
・作り方は話すだけ10分。完璧を目指さず5件から
・すぐ役立ち、家族を守り、記録の習慣の入口になる。最初の一歩に最適

大きな備えは、小さな一覧から。今日はまず、あなたの頭の中の電話帳を、会社の電話帳にしてあげてください。

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この記事を書いた人

創業45年になる有限会社クリンシアの2代目代表。マットモップレンタル事業、ビルメンテナンス清掃事業、家庭用洗剤、次亜塩素酸水製造販売事業、ナノテックシステム導入支援事業、清掃用具関連販売事業、清掃業務に関するコンサルティング事業などをしています。 また飲食店事業としてテイクアウトカフェの運営も行っています。