「売上がほしい。でも広告費はない。営業も苦手だ」
——そんな清掃会社・ビルメン会社の社長さんに、まず見てほしい場所があります。
新しい市場でも、ライバルの動向でもありません。あなたの会社の、古い顧客リストです。そこには「1年以上連絡していないお客様」が何十件も眠っているはずです。
実はそれ、放置された宝の山なんです。
去年植えたイモを、掘らない農家はいない
畑にたとえてみます。
春にイモの苗を植えた農家が、秋になっても掘り起こさず、「さあ、新しい畑を開拓するぞ!」と山を切り拓きに行ったら——「ちょっと待って、先に育ったイモを掘ろうよ」と誰でも思いますよね。
でも商売になると、多くの会社がこれをやってしまいます。
過去に一度でも仕事をしたお客様は、あなたがすでに植えた苗です。信頼という水をやり、仕事ぶりという肥料も入っている。あとは「そろそろ収穫の時期ですよ」と声をかけるだけの状態で、土の中で待っています。

それなのに多くの会社は、植えたことすら忘れて、新規開拓という新しい山ばかり切り拓こうとする。もったいないにも、ほどがあります。
なぜ「1年前のお客様」が狙い目なのか
理由は3つあります。
理由1: 汚れは1年で元通りになるから
エアコンのカビも、換気扇の油も、床ワックスのくすみも、だいたい1年で「そろそろ」の状態に戻ります。つまり去年の今ごろ作業したお客様は、今まさに同じ悩みを抱え始めている。声をかけるのに、これ以上のタイミングはありません。
理由2: あなたを「知っている」から
新規のお客様に信頼してもらうには時間もコストもかかります(新規獲得は既存客の5倍のコストという「1対5の法則」は有名です)。休眠のお客様は違います。あなたの顔も、仕事の丁寧さも知っている。ゼロからではなく、80点からのスタートです。
理由3: 離れた理由の大半が「なんとなく」だから
連絡が途絶えたお客様の多くは、不満があったわけではありません。ただ忘れていただけ。だから「覚えていてくれたんですか」と、むしろ喜ばれることの方が多いのです。
掘り起こしの手順は4つだけ

手順1: 「1年以上ご無沙汰リスト」を作る
過去の請求書や工事台帳から、最後の作業日が1年以上前のお客様を書き出します。まずは紙でもExcelでも構いません。金額の大きかった順に並べると、優先順位が一目でわかります。
手順2: 「思い出せること」を添える
リストの各お客様に、覚えていることをひと言添えます。「エアコン3台」「犬がいた」「社長がゴルフ好き」。この一言が、次の連絡を「営業電話」から「久しぶりの挨拶」に変えます。
手順3: 気づかいの連絡をする
電話でもハガキでもOK。売り込みではなく、点検のお知らせの形にします。
「◯◯様、△△クリーンの□□です。昨年エアコンをやらせていただいてから、ちょうど1年になります。その後、調子はいかがですか? 今年も梅雨前の時期が近づいてきたので、気になるようでしたらお声がけください」
これだけです。返事がなくても大丈夫。「思い出してもらうこと」自体が成果です。次に困ったとき、お客様の頭に浮かぶのはあなたの会社になっています。
手順4: 結果を記録して、来年もくり返す
「7月に連絡・留守電」「奥様と話した・秋にまた連絡希望」——結果を記録しておけば、掘り起こしは1回きりのキャンペーンではなく、毎年実る畑になります。
10件声をかけて、1件戻れば大成功
掘り起こしの成功率は、10件連絡して1〜2件戻ってくれば上出来です。「9件は空振りか…」と思うかもしれませんが、考えてみてください。ハガキ10枚でも850円。電話10本でも2時間。それで単価5万円の仕事が1件戻ってくるなら、広告としては破格の費用対効果です。
しかも戻ってきたお客様は、また1年後の「見込み客」になります。畑は掘るたびに、翌年も実るのです。
今週、まずは10件。古い台帳をめくって、懐かしいお名前に「お元気ですか」の一報を入れてみてください。


