ビフォーアフター写真の撮り方——クレーム防止と営業ツールの一石二鳥

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ダイエット食品の広告を思い浮かべてください。だらしない体の「前」と、引き締まった「後」。あの2枚の写真の説得力は、どんな美辞麗句も敵いません。

清掃業は、実は世界で一番ビフォーアフターが映える商売です。真っ黒な換気扇が銀色に。ウロコだらけの鏡が新品同様に。この劇的な変化を毎日タダで生産しているのに、写真を撮っていないとしたら——毎日、宣伝素材を捨てながら仕事をしているようなものです。

今日は、ビフォーアフター写真の撮り方を、①クレーム防止 ②営業ツールという2つの視点から、現場ですぐ使えるレベルでお話しします。

目次

写真の第一の仕事は、実は「お守り」である

作業前の写真はお守りという図解

営業活用の話の前に、もっと切実な話から。作業前の写真は、あなたの会社を守る保険です。

こんな経験はありませんか。作業が終わったあと、お客様が言うのです。「あら、ここに傷が……お宅がつけたんじゃないの?」

その傷が元からあったものだとしても、証拠がなければ水掛け論です。関係を壊したくないから泣き寝入りで補償する。もやもやだけが残る——。

作業前に室内をぐるっと撮っておけば、この問題は消滅します。「作業前のお写真がこちらですが、この時点で傷がございますね」と、感情を挟まず事実で話せる。お客様も納得できる。両方が守られるんです。

だから撮影の第一ルールはこれです。「作業前に、対象箇所+周辺+既存の傷や不具合を撮る」。既にあるエアコンの変色、床のへこみ、動かした家具の元の位置。1分で撮れるこの数枚が、いざという時に何万円分も働きます。

「使える写真」を撮る4つのコツ

使える写真を撮る4つのコツの図解

次に、営業に使える写真の撮り方です。プロのカメラは要りません。スマホで十分。ただし、コツが4つあります。

コツ1: ビフォーとアフターは「同じ位置・同じ角度」で

これが最重要です。ビフォーは左斜めから、アフターは真正面から——これでは比較になりません。床のタイルの目地や壁の角など、目印を決めて同じ立ち位置から撮る。プロっぽさの9割はここで決まります。慣れないうちは、ビフォーを撮った足の位置を養生テープでマークしておくと確実です。

コツ2: 明るさを揃える

ビフォーは昼の自然光、アフターは夜の蛍光灯——これも台無しパターンです。照明の条件を揃えるだけで、「本当にきれいになった」ことが正しく伝わります。逆に言うと、明るさが不揃いな写真は「加工したんじゃないの?」という疑いすら招きます。

コツ3: 「引き」と「寄り」の2枚セットで撮る

全体がわかる引きの1枚と、汚れ(ときれいになった箇所)に迫る寄りの1枚。引きだけだと変化が伝わらず、寄りだけだとどこの話かわかりません。2枚セットが基本です。

コツ4: 撮ったら「どこの現場か」をすぐ記録

意外な落とし穴がこれ。数か月後、スマホの中に「どこかの換気扇」の写真が500枚——どれが誰の家か、もうわかりません。撮ったらその日のうちに、お客様ごとに整理して保存する。写真は現場の記録とセットになって、はじめて資産になります。

撮る前に、必ず「ひと言」の許可を

お客様の家の中を撮る以上、無断はいけません。ただ、許可取りは難しくありません。作業前の挨拶にこう添えるだけです。

「作業の前後で写真を撮らせていただいています。作業品質の記録と、万一の際の確認のためですので、ご安心ください」

これで断られることは、まずありません。むしろ「ちゃんとしてる会社ね」と好印象です。

なお、チラシやホームページに載せたい場合は、別途ひと言。「とてもきれいに仕上がったので、事例写真として使わせていただけませんか?お部屋の場所やお名前は一切出しません」。ここで快諾してくれたお客様の写真だけを使う。この線引きを守っている限り、写真はトラブルの種にはなりません。

公開前の最終チェック: 「映り込み」に気をつける

チラシやネットに写真を載せる前に、必ず確認したいのが「映り込み」です。せっかくの営業素材が、うっかりでトラブルの種になっては本末転倒。チェックするのはこの4つです。

  • 家族写真・賞状・名前入りのもの——冷蔵庫に貼られた子どもの絵や表彰状は、個人が特定できてしまいます。フレームから外すか、モザイクを
  • 窓の外の景色——窓越しに隣の家や特徴的な建物が映ると、場所が特定できることがあります
  • 郵便物・カレンダーの書き込み——テーブルの上の封筒には住所と名前が書いてあります。作業前に裏返すのが習慣になれば完璧
  • 鏡やガラスへの映り込み——浴室の鏡のアフター写真に、撮影者のあなたがバッチリ映っている、はあるあるです。ご愛嬌で済む場合もありますが、背後の室内が映っていないかは要確認

難しく考える必要はありません。「この写真から、どこの誰の家かわかるか?」と自問して、わからなければ合格。この一手間が、「写真の使い方までちゃんとしている会社」という信頼の裏打ちになります。

撮った写真の「三度おいしい」使い方

さて、貯まった写真は3つの場面で働きます。

1つ目: その場でお客様に見せる。作業後、「ビフォーがこちらです」とスマホを見せる。お客様は毎日見ていた汚れの「ひどさ」を実は覚えていません。ビフォーを見て初めて「こんなに汚れてたの!?」と価値を実感します。満足度が一段上がり、リピートと紹介の土壌になります。

2つ目: 見積もり・提案の説得材料に。「同じような汚れのお宅の事例です」と過去の写真を見せれば、仕上がりのイメージが伝わり、金額への納得感が生まれます。言葉で10分説明するより、写真1組のほうが強い。

3つ目: チラシ・ホームページ・Googleの店舗情報に。広告業者に頼むと何万円もかかる「実績の証明」が、日々の現場から無料で量産されます。地元のお客様にとって、実際の作業写真ほど信頼できる広告はありません。

今日の現場から、作業前にパシャ、作業後に同じ位置からパシャ。1日たった2分の習慣が、お守りになり、営業マンになり、広告になる。こんなに割のいい2分は、なかなかありません。そして撮った写真は、必ずお客様ごとの記録と紐づけて保存を。「あのお客様の去年のビフォー写真」がすぐ出てくる会社は、提案の説得力がまるで違ってきます。

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この記事を書いた人

創業45年になる有限会社クリンシアの2代目代表。マットモップレンタル事業、ビルメンテナンス清掃事業、家庭用洗剤、次亜塩素酸水製造販売事業、ナノテックシステム導入支援事業、清掃用具関連販売事業、清掃業務に関するコンサルティング事業などをしています。 また飲食店事業としてテイクアウトカフェの運営も行っています。

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